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浦和地方裁判所 昭和51年(わ)1515号 判決

本店所在地

埼玉県越谷市越ケ谷五丁目一番一九号

商号

吉野電化工業株式会社

代表者

代表取締役 吉野謙三

本籍

埼玉県越谷市越ケ谷五丁目四八五〇番地

住居

同県同市越ケ谷五丁目三番三号

会社役員

吉野謙三

大正二年五月一日生

右両名に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官中村誠二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人吉野電化工業株式会社を罰金一、二〇〇万円に、

被告人吉野謙三を懲役八月に処する。

被告人吉野謙三に対し、この裁判の確定した日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人吉野電化工業株式会社は、埼玉県越谷市越ケ谷五丁目一番一九号に本店を置きメッキ業等を営むもの、被告人吉野謙三は、同会社の代表取締役として、その業務全般を統轄しているものであるが、被告人吉野謙三は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、メッキ用原材料であるニッケル板及び銅板の一部を自社内で使用したように装って簿外で売却したり、架空経費を計上する等の行為により所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和四七年一二月一日から同四八年九月三〇日までの事業年度において、同会社の実際所得金額は一二〇、六六七、三七九円で、これに対する法人税額は四三、五六七、八〇〇円であるのにかかわらず、同年一一月三〇日春日部市大字粕壁字浜川戸五四三五番地の一所在、春日部税務署において、同署長に対し、所得金額は四七、九九〇、七三四円で、これに対する法人税額は一六、八六二、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、同日の確定申告期限を徒過し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税額二六、七〇五、二〇〇円を免れ

第二  昭和四八年一〇月一日から同四九年九月三〇日までの事業年度において、同会社の実際所得金額は九五、四六六、三〇二円で、これに対する法人税額は三六、七六一、七〇〇円であるのにかかわらず、同年一一月三〇日前記春日部税務署において、同署長に対し、所得金額は五三、六九〇、四八一円で、これに対する法人税額は二〇、〇五八、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して同日の確定申告期限を徒過し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税額一六、七〇三、三〇〇円を免れ

第三  昭和四九年一〇月一日から同五〇年九月三〇日までの事業年度において、同会社の実際所得金額は一一六、七八九、七七四円で、これに対する法人税額は四五、〇九八、一〇〇円であるのにかかわらず、同年一一月二八日前記春日部税務署において、同署長に対し、所得金額は五六、七〇七、九三三円で、これに対する法人税額は二一、〇七一、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同年一二月一日の確定申告期限を徒過し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税額二四、〇二六、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人吉野謙三の当公判廷における供述

一、被告人吉野謙三の検察官に対する供述調書二通

一、被告人吉野謙三に対する大蔵事務官の質問てん末書一三通

一、今井彰男、安原冨一の検察官に対する各供述調書(但し、安原については二通)

一、登記官作成の登記簿謄本

一、春日部税務署長作成の証明書三通

一、大蔵事務官作成の調査書一一通

一、安原冨一(五通)、阿部次利(三通)、堀内緒方(二通)、松浦勲、高階一郎、今井彰男(二通)、中島貞吉、角田和文に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一、被告人吉野謙三(三通)、安原冨一(八通)、高階一郎、堀内緒方(二通)、吉野弘、大居康彦、今井彰男(二通)、林晃造、福島博昭、勝山多美、藤波義郎、関口辰巳、田村鶴松、阿部次利、山岸武久、佐藤貞夫、早山時勝、大塚昌邑、橋本良樹、成田高男、飯田利雄、松浦真人、加藤剛、柿崎敬治(二通)作成の各答申書

(法令の適用)

被告人吉野電化工業株式会社の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で同会社を罰金一、二〇〇万円に処し、被告人吉野謙三の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役八月に処し、情状により同被告人に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 北野俊光)

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